むち打ちに遭われた際に、初期の段階では痛みの回避と傷口を広げないために、安静と固定が必要になります。
その後、経過をみながら動きの悪くなった関節の動きをよくしたり、深部の筋肉をほぐしていきます。
そこで、時間の経過とともに気になるのが後遺症です。本当に治るの?といった不安が出てきたりします。そんな時に大切になるのが、筋力を回復させるための運動です。怪我からの回復には、3ステップがあります。
まず、歪みをとり正しい神経の流れを作ること。
次に、筋肉を柔らかくし血液の循環を改善すること。
最後に、筋力をつけ、正しい状態をキープできるようにすること。
以上の3つの流れです。
この順番が重要です。よく聞く話ですが、痛みから早く回復したいと考え、すぐに運動を始めてしまう人がいます。すると、交通事故などの衝撃によってゆがんだ骨格が、筋肉の運動によりさらにゆがんでしまうことがあります。これでは、治そうとする神経の流れも100%に至らず、回復を遅らせてしまいます。また、筋肉も疲労を起こし、硬くなると血液循環もさらに悪くなり、痛みの回復がみられないことが想像できます。このように、運動が始めてしまうと回復どころか、悪化の恐れがあるのです。運動は、歪みが取れ、筋肉が柔らかくなってから、最後に行うことで効果を発揮するのです。
では、実際にむち打ち後の運動って何をするの?といった感じだと思います。首の筋肉だけを動かすわけではありません。頭は体重の8%と言われます。だいたい60kgの人で5kが程度です。この重みを細い首で支えているのです。この首の筋肉は長いもので骨盤まで繋がっています。肩こりの筋肉、僧帽筋は背中中央まで繋がっています。つまり、首を支えるために幅広い所の筋肉を使っているのです。ということは、むち打ちのための運動も骨盤から背中、首に渡り動かした方が良いということです。具体的にいうと、まずは骨盤を安定させるための骨盤周辺の筋肉の運動から始めます。次に、背中ですが、胸を大きくはれるように運動させます。最後に首は、前後左右に動きの範囲が広くなるように動かしていきます。ここでも、順番が大事なんですよね、まずは家で例える所の基礎部分から、そんなイメージですね。
ということで、むち打ちの治療には経験が大切です。医療であれば全て同じことが言えますが、経験にまさる勉強はありません。交通事故の方のお悩みは事故の数ほどあります。治療から運動までトータル的にサポートできることが大切なのです。